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11:18:09
出資馬のグランビスキュイ(父:エンパイアメーカー)が去勢され、せん馬となりました。
タマタマをねじ切る方式なら、1週間ほどで乗り運動を再開出来ます(ニッコリ)・・・ということで、早くデビュー戦が見たいです。

これまでの経緯を簡単に説明すると・・・



・牧場時代は素直で従順だった。

・入厩してもそれは変わらず従順だったが、なぜかゲート練習を異常に嫌がる。

・徐々に気性が悪化し、うるさくなる。ゲート練習はもちろん話にならず。

・無理やりゲートにつなぐ等対策をしたが、練習中に暴れて外傷を負う。

・リフレッシュに放牧に出され、再び入厩。引き続きゲート練習も効果なし。

・ゲート矯正を専門とする宮崎ステーブルに移動。

・相変わらずうるさいが、一つ一つゲート矯正のプログラムをこなす。

・しかし、気性難は悪化。追い込むとパニックを起こす有り様。

・ついに宮崎ステーブルにも匙を投げられ、去勢へ。




このようになります。
気になったのは、入厩してからうるさくなったこと。

牧場で普段から慣れたスタッフと大自然の中、のびのびと調教を積んでいた際にはリラックスして過ごせたのでしょうが、入厩してからは『馬を鍛える為の施設』の中、生きるか死ぬかを分ける厳しい競争社会で、研ぎ澄まされて肉食獣のようにギラギラした現役馬達に囲まれ、精神的なプレッシャーをかなり感じたはずです。

そのストレスで気性難のスイッチが入ったのだと思います。
ではスイッチを入れないように出来るのかと言えば、それは競走馬として生活をおくる上では不可能でしょう。
勝負の世界でふんわりとリラックスした状態で勝利を収められるのは、相当な逸材だけです。






グランビスキュイは上記の通り、ゲート難を解決するために送られた宮崎ステーブルで一つ一つ改善プログラムをこなしていましたが、気性難が徐々にひどくなり、パニックを起こすようになると、結局最後は見放されてしまいました。

インターネットを見ていると、「ノルマンディーファームにいた頃の何かトラウマが原因なのでは。」等、育成に関わる人間の責任だという意見もあります。

以前に記事にしたように、確かに競走馬の気性と良し悪しと、育成スタッフの熟練度には一定の相関があります。
(下記参照)

生産牧場が与える競走馬の『気性』への影響




しかし、私の結論としては、気性は『環境<遺伝』の影響の方が大きく、致し方ない面はあるように思います。

この辺りも過去の記事で既に述べていますので割愛します。


競走馬の気性難は血統による遺伝的要素が大きいのか


シマウマが徐々に凶暴化するのは遺伝



宮崎ステーブルの担当者は
「これから春になり、男性ホルモンが増えてくれば今まで以上に気性難となる可能性があるので、去勢を進言したい。」
といった内容を述べています。

成獣になるにつれて元々持っていた物が表面化してしまったということです。
なぜかと言うと、グランビスキュイの母リトルビスケットも気性難であったようで、これが遺伝したものと思われます。

上記のキツネ・シマウマの話同様、幼い頃は本質が抑えられていても、ペットならまだしも、競走馬特有の闘争本能を掻き立てる調教を行えば、眠っていた”気性難のスイッチ”が入ってしまうのは自然な事です。





ゲート難を矯正する為に送られた宮崎ステーブルでプログラムを順番にこなしていたようですが、これはプロの訓練士が行う『犬のしつけ』とほとんど同じアプローチをしていると思われます。

「これは安全な物だよ。」、「こうすれば楽だよ。」、
「これが出来ると褒めてもらえるよ。」、「これは絶対、譲れないんだよ。」

と一つ一つ馬を納得させて行くのです。


馴致のプロで馬の行動心理学などを研究、生産者向けのセミナー講師をされている宮田朋典氏も

「馬の問題行動は治るというより、一時的に良い方向へ向けること。」

と述べており、教育によって悪い面を内側に抑え込んでいるだけで、いつまたそれが表面化するか分からないし、ある程度”持病”と同じく、一生それと付き合う気持ちが必要なようです。


ですから馬の性質は「環境より遺伝が優先される。」が大前提にあるものの、人の力でそれをどこまでカバー出来るかが重要なわけで、厩舎スタッフの腕が試されるのです。

周知のことではありますが、これが馬選びのおいて『厩舎』が『血統』、『馬体』に並ぶファクターである理由の一つであり、近年では放牧先の『外厩』もそうした役割が厩舎と同等に重要になっているように思います。




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