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16:16:54
日本の競馬では日々レコードタイムの更新が繰り返されています。
これは競馬ファンなら周知の事実のように、馬の力が上がったというよりもJRAが用意した『高速馬場』が要因と思われます。


クッションが効いて凹凸が無く、走り易い馬場を実現した為です。
念のために言っておきますが、高速馬場が馬を壊すというのは根拠はありません。
(下の記事を参照)

”高速馬場でスピードが上がっても骨折の数、リスクは変わらない”



現在1600mの世界レコードを持っているのがレオアクティブと聞いて、レオアクティブを世界競馬史上最強のマイラーだという人はいないでしょう。


つまり、レコードタイムの更新は「サラブレッドが進化した」わけではなく、単なる人為的な馬場の改良によるものであり、つまりは科学技術の向上によって環境が変わっただけというわけです。




もちろん2000年代までの日本の競馬は欧米からの種牡馬、繁殖牝馬の導入で、飛躍的に馬自身のレベルが上がったのも事実です。

ただ、これは日本に根付く血統の馬達の力が上がったと言えるのでしょうか?





以前に述べたように、”日本近代競馬の結晶”こと、ディープインパクトは日本で生を受けましたが、その父サンデーサイレンスはアメリカの血統でアメリカが作った馬です。
そして、ディープの母ウインドインハーヘアも米英の血統で、アイルランドで生まれ、その後、繁殖として日本に来ました。



これのどこが日本近代競馬の結晶なのでしょうか?

言ってみれば、父はアメリカで育った黒人で、日本に帰化した。
母はアイルランドで育った白人で、日本に帰化した。

そんな二人が結ばれて生まれた子供がオリンピックの100mファイナリストになって
「どうだ、見たか。これが日本男児の大和魂!」とは言えないでしょう。





つまり、上記で私が述べた
「馬自身のレベルが上がった」というのは、既存の血統が進化したわけではなく、単に

「元々世界に存在している優れた血統に上書きされ、淘汰しただけ。」

ということです

地球の歴史で言えば、外来生物が攻めて来て現地生物を滅ぼして、メスは運が良い者は一部子孫繁栄の為に取り込まれた・・・そんな所でしょうか。





ただ、体型については『高速馬場への適応』という変化は感じます。

進化では無く、変化。
高速馬場への適応=体型・骨格の変化・・・これを進化と言え無い事も無いのですが、一種のトレンド(流行り)に対応しただけとも言えます。

色々な種牡馬、血統がいる中で、トレンドに当てはまった馬達が活躍し、スポットライトが当たっているだけという解釈です。
この辺りの微妙な表現にこだわっても仕方ありませんが・・・。








これは何も、サラブレッドだけに限った話ではありません。

有名なスピーチイベント、TEDでデイヴィッド・エプスタインは、
「過去数十年のスポーツでの実績を見ると、まるで人間のあらゆる運動能力が進化して来たかのような印象を受けるが、人に本来備わる能力の発達はそのほんの一部のみなのだ。」
と述べています。


その根拠として、1936年ベルリンオリンピックで4冠を獲得したジェシー・オーエンス(100mの記録10秒3)と、100mの世界記録である9秒58(2009年)を持つウサインボルトの比較について、こう述べています。


ウサイン・ボルトは、スターティングブロックから蹴り出し、走者が人類に可能な限り速く走る事ができるように、特別に作られた敷物の上を走りました。

一方でジェシー・オーエンスはスターティングブロックの代わりにスタートラインに穴を掘り、コークスを敷き詰めたシンダートラック上を走り、そのソフトな表面は遥かに多くのエネルギーを脚から吸収してしまいました。

オーエンスの関節が動く速度を生体力学的に分析するとボルトが走った時と同じ舗装上を走っていれば、わずか一歩の差でボルトの直後を走っていたことになります。

トラックの舗装技術次第で、これだけの差が出るのです。





他の競技についても同様で、例えば水泳の100m競技のレコードタイムを調べると、ある時期に飛躍的に記録が速くなった事に言及しています。

その時期を調べると、まず一回転するフリップターンの導入の際。(一度静止するエネルギーロスが飛躍的に減った。)
そしてプール水面近くに排水溝が設置された際。(水面の波が起こらず、エネルギーロスが減った。)
最後は記憶に新しいレーザーレーサー等の新型水着が開発された際。(摩擦抵抗を減らしエネルギーロスが減った。)


つまり、人類の進化では無く、道具や環境の変化が主だということです






短距離競技のみならず、長距離でもこれは同じで自転車で1時間にどれだけ走れるかを競う競技では1972年に49キロだった記録は、1996年には56キロにまで伸びました。

が、2000年に国際自転車競技連合が自転車の性能を当時と同じ条件に定めた所、現在の記録は1972年の記録からわずか269m伸びたのみとなりました。


記録は人間の進化ではなく、自転車の性能が上がっただけだったということです。

我々は世界新記録が出る度、人類の進化だと歓喜し、その勝者を称えていますが、実際には周りの環境や道具が進化しただけの虚構なのです。







競馬の話に戻します。
アメリカのケンタッキーダービーの走破タイムをご存じでしょうか。

アメリカの競馬は日本や欧州と違い、テンから飛ばしてバテた馬が脱落。
最後に残った馬が一番強いというハイペースの真っ向勝負を好みます。

その為、スタミナを残すことなく全力を尽くすレースが多いように感じます。
日本や欧州の競馬と比べて、タイムの比較がそのまま行えるのではないでしょうか。




ケンタッキーダービー 勝ち時計

2015年 アメリカンファラオ・・・2分3秒2。
2008年 ビッグブラウン・・・2分1秒8
2004年 スマーティジョーンズ・・・2分4秒6
2001年 モナーコス・・・1分59秒9
2000年 フサイチペガサス・・・2分1秒1

1989年 サンデーサイレンス・・・2分5秒2
1979年 スペクタキュラービッド・・・2分2秒2
1978年 アファームド・・・2分1秒2
1977年 シアトルスルー・・・2分2秒2
1973年 セクレタリアト・・・1分59秒4(レコード)

1964年 ノーザンダンサー・・・2分0秒0
1943年 カウントフリート・・・2分4秒0
1937年 ウォーアドミラル・・・2分3秒2
1931年 トゥエンティグランド・・・2分1秒8
1915年 リグレット・・・2分5秒4






ここまでほとんどタイムの進歩は見られません。
2015年と100年前の1915年を比べて僅か2秒の差。
全ての年を見れば、ゆるやかに速くなっているのですが、ピックアップすると僅かな物なのです。


サラブレッドは優生学の権化とも言え、速く走ることだけを追い求めて延々と品種改良を繰り返しています。
競走馬として生まれたサラブレッド全体の平均寿命(と殺含む生命を終える時間)は4年。
恐ろしいまでに短いサイクルで淘汰を繰り返しても、縮めた時計はこの程度なのです。






だとすれば、スポーツが出来ないからと言ってと殺もされないし、寿命も長い人間ごときが僅か数十年、つまりは1世代程度で根本的な肉体の進化など出来るわけがなく、上で紹介したデイヴィッド・エプスタインの話の通り、ほんのわずか進歩したのみであることが分かると思います。





日本競馬も血が塗り替えられ、日本の陸上界に例えるなら黒人とのハーフが大会の上位を全て占めているような状態になりつつあります。

これはサンデーサイレンス(黒人)の血が入っていれば、それで勝てる時代・・・が徐々に終わろうとしていることを示しています。
「4代続くダービー馬はいない」という格言通り、サンデーサイレンスが飽和した後の日本競馬はどのような血を求めるのでしょうか。

「日本のサラブレッドの進化」とはその飽和の時を過ぎても尚、成長を続けた時、ようやく実現出来たと言える事なのかも知れません。


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