2017/12/07
22:46:22
最近ノルマンディー会員が頭を抱えているのが2歳馬の不振。
これはノルマンディー(岡田スタッド)が昼夜放牧を数か月延長させるという策を施した結果であり、現時点では2歳戦はボロボロで着外の連続と、完全に失敗の模様。
頭数が増えている中で、この状況は非常にまずいです。
放牧を延長させるということは、それだけ馴致、乗り出しが遅れ、競走馬としてレースに出られる状況にまで持って行く時間は当然余計に掛かります。
ライトコントロールなどで出産を促し、なるべく早く生まれ、早く馴致し、早くレースに勝つ。
それが日本競馬を牛耳る社台が現在行っている馬の育成であり、ノルマンディー(岡田スタッド)のやり方は時代と逆行するように感じます。
では、そもそも昼夜放牧にはどのような効果があるのでしょうか。
JRA総研のデータによれば放牧時間を延長するほどに「骨」、「屈腱繊維」の増強が証明されています。
運動の時間が増えることで、移動距離は馴致よりも長くなり、繰り返しのそれは上記を強くしていきます。
また人間によって定時に一日数回の給餌だけで食事を摂るのが一般的なのに対し、放牧中は自由に青草を摂取することが出来ます。
馬は人間のような食事スタイルではありません。
こまめに少量を取り続けるのが本来の姿であり、人間のように定時の給餌は胃腸に負担を与え、胃潰瘍など内臓へダメ―ジを蓄積させてしまいます。
これについては以前に書いた記事
馬のほとんどが胃潰瘍、競馬は虐待なのか?
上記リンクを参照下さい。
放牧により、食べたいだけ摂取出来るようになれば、当然1日で食べる合計量は多くなります。
これがより強い骨や体を形成し、また胃腸の異常が出なければ、さらに食欲が増し、内臓も育てられます。
このように競走馬の基本ともいえる『体づくり』に、昼夜放牧の延長は大変有意義なのです。
しかし、もちろんデメリットがあります。
冒頭で「社台の育成と逆」と指摘しましたが、要はそういうことなのです。
馴致、育成が遅れるということは、それだけ競走馬として完成するまで遅れをとることになります。
馬術的、科学的に有効なトレーニングを繰り返すことで、より速く、操縦性やメンタル面でも優秀な馬を作ることが出来ます。
そういう最適化された育成を洗練し続けることが、社台がトップで居続ける企業努力であり、それに対してデビューすべき時までの限られた期間を「放置」ともいえる放牧延長が、競走馬をつくる上で最良の手段とは正直言えないと思います。
しかし、これは真っ向勝負での話。
ノルマンディーのコンセプトはご存じの通り
「年10走を目指し、クラシックにこだわらず、丈夫で長く走らせ、着実に賞金を稼いでプラスにしていく。」
です。
出走手当のような細かい収入にも言及されており、要するに社台と真っ向勝負するのではなく、
住み分けをして「共存」していくスタイルなのです。(私はそう解釈しています。)
広義のテクニック、心肺能力よりも、丈夫さに重きを置いたわけです。
例えば、以前にも例として挙げましたが、マイネルのラフィアンも以前は社台よりも早期にデビューさせて手薄な2歳戦線で稼いでいくスタイルを確立していました。
社台に対抗するのではなく、違う『狩り場』で稼ぐ方が、遥かに簡単に利益を上げることが出来たわけです。
その為に、真偽は不明ですが、あまり体を大きくすると完成までに時間が掛かるので、エサの量をあえてセーブさせて、スリムで仕上がり易い馬体に育てて、早くデビューさせる・・・そんな育成をしているとも聞きました。
これが競走馬として理想的な育成とは私は思いませんし、恐らく育てる側もそう思っているでしょう。
しかし、そういう確かな目的があってやっているわけですから、これも正しい手段なのです。
(最近の不調は度重なる、種馬導入の失敗と、社台の有力馬のデビューがラフィアン並に早まったことかも知れません。)
ノルマンディーについても同じです。
ノルマンディーのコンセプトに沿った育成方針だったわけで、それが極端に行きすぎてバランスを損なってしまった感は否めませんが、失望するような失策ではないと思います。
懇親会で岡田牧雄氏が乗り役不足含めて失敗であることを認めて、修正していることを明言されているようですし、また思惑通り、体そのものは丈夫に育ったと一定の効果もあったとしていますし、だとすれば盛り返すのはこれからです。
結果でしか判断出来ない層は「成績が悪い、社台と違う。」と怒り心頭のようですが、私に言わせれば
「では、全体の回収率は社台に劣っていない(一口データベースを参照)理由はどうして?」
と問いたいですし、社台と違うのは、(社台から真似る事が出来るものは吸収すべきという大前提のもと。)
『あえて違う』
という側面がある事を理解すべきなのです。
要は上記の「回収率は社台に負けていない」理由は「社台と違うやり方で、パイの奪い合いをなるべく避けているから。」というわけです。
もちろん、ピラミッドの頂点に行くにつれて社台と同じ土俵となってしまうわけですが、大抵の馬は下級条件で構成されているわけであり、住み分けがされているのです。
そもそもこれまでも優秀なオープン馬をノルマンディーは何頭も輩出していますし、怒りの元凶である
「結果が出ていない」
というのは、実はノルマンディー馬ではなくて、選んでいる方自身なのでは?と思っています。
単年度でノルマンディーを許さないのは自由だし、社台を基準に考えるなら社台で出資すれば良いです。
正直、ノルマンディーも会員数は飽和に近づいており、辞めてもらうひとが増えるのは歓迎ですから。
ただ、ポリシーを持って辞めるひとが果たしてどれだけいるのか疑問で、辞めるのは結局は飽きたか、成績が振るわないかのどちらかでしょう。
オープン馬を引きながらノルマンディーを許さないと言うのなら、それは立派だなと思います。
これはノルマンディー(岡田スタッド)が昼夜放牧を数か月延長させるという策を施した結果であり、現時点では2歳戦はボロボロで着外の連続と、完全に失敗の模様。
頭数が増えている中で、この状況は非常にまずいです。
放牧を延長させるということは、それだけ馴致、乗り出しが遅れ、競走馬としてレースに出られる状況にまで持って行く時間は当然余計に掛かります。
ライトコントロールなどで出産を促し、なるべく早く生まれ、早く馴致し、早くレースに勝つ。
それが日本競馬を牛耳る社台が現在行っている馬の育成であり、ノルマンディー(岡田スタッド)のやり方は時代と逆行するように感じます。
では、そもそも昼夜放牧にはどのような効果があるのでしょうか。
JRA総研のデータによれば放牧時間を延長するほどに「骨」、「屈腱繊維」の増強が証明されています。
運動の時間が増えることで、移動距離は馴致よりも長くなり、繰り返しのそれは上記を強くしていきます。
また人間によって定時に一日数回の給餌だけで食事を摂るのが一般的なのに対し、放牧中は自由に青草を摂取することが出来ます。
馬は人間のような食事スタイルではありません。
こまめに少量を取り続けるのが本来の姿であり、人間のように定時の給餌は胃腸に負担を与え、胃潰瘍など内臓へダメ―ジを蓄積させてしまいます。
これについては以前に書いた記事
馬のほとんどが胃潰瘍、競馬は虐待なのか?
上記リンクを参照下さい。
放牧により、食べたいだけ摂取出来るようになれば、当然1日で食べる合計量は多くなります。
これがより強い骨や体を形成し、また胃腸の異常が出なければ、さらに食欲が増し、内臓も育てられます。
このように競走馬の基本ともいえる『体づくり』に、昼夜放牧の延長は大変有意義なのです。
しかし、もちろんデメリットがあります。
冒頭で「社台の育成と逆」と指摘しましたが、要はそういうことなのです。
馴致、育成が遅れるということは、それだけ競走馬として完成するまで遅れをとることになります。
馬術的、科学的に有効なトレーニングを繰り返すことで、より速く、操縦性やメンタル面でも優秀な馬を作ることが出来ます。
そういう最適化された育成を洗練し続けることが、社台がトップで居続ける企業努力であり、それに対してデビューすべき時までの限られた期間を「放置」ともいえる放牧延長が、競走馬をつくる上で最良の手段とは正直言えないと思います。
しかし、これは真っ向勝負での話。
ノルマンディーのコンセプトはご存じの通り
「年10走を目指し、クラシックにこだわらず、丈夫で長く走らせ、着実に賞金を稼いでプラスにしていく。」
です。
出走手当のような細かい収入にも言及されており、要するに社台と真っ向勝負するのではなく、
住み分けをして「共存」していくスタイルなのです。(私はそう解釈しています。)
広義のテクニック、心肺能力よりも、丈夫さに重きを置いたわけです。
例えば、以前にも例として挙げましたが、マイネルのラフィアンも以前は社台よりも早期にデビューさせて手薄な2歳戦線で稼いでいくスタイルを確立していました。
社台に対抗するのではなく、違う『狩り場』で稼ぐ方が、遥かに簡単に利益を上げることが出来たわけです。
その為に、真偽は不明ですが、あまり体を大きくすると完成までに時間が掛かるので、エサの量をあえてセーブさせて、スリムで仕上がり易い馬体に育てて、早くデビューさせる・・・そんな育成をしているとも聞きました。
これが競走馬として理想的な育成とは私は思いませんし、恐らく育てる側もそう思っているでしょう。
しかし、そういう確かな目的があってやっているわけですから、これも正しい手段なのです。
(最近の不調は度重なる、種馬導入の失敗と、社台の有力馬のデビューがラフィアン並に早まったことかも知れません。)
ノルマンディーについても同じです。
ノルマンディーのコンセプトに沿った育成方針だったわけで、それが極端に行きすぎてバランスを損なってしまった感は否めませんが、失望するような失策ではないと思います。
懇親会で岡田牧雄氏が乗り役不足含めて失敗であることを認めて、修正していることを明言されているようですし、また思惑通り、体そのものは丈夫に育ったと一定の効果もあったとしていますし、だとすれば盛り返すのはこれからです。
結果でしか判断出来ない層は「成績が悪い、社台と違う。」と怒り心頭のようですが、私に言わせれば
「では、全体の回収率は社台に劣っていない(一口データベースを参照)理由はどうして?」
と問いたいですし、社台と違うのは、(社台から真似る事が出来るものは吸収すべきという大前提のもと。)
『あえて違う』
という側面がある事を理解すべきなのです。
要は上記の「回収率は社台に負けていない」理由は「社台と違うやり方で、パイの奪い合いをなるべく避けているから。」というわけです。
もちろん、ピラミッドの頂点に行くにつれて社台と同じ土俵となってしまうわけですが、大抵の馬は下級条件で構成されているわけであり、住み分けがされているのです。
そもそもこれまでも優秀なオープン馬をノルマンディーは何頭も輩出していますし、怒りの元凶である
「結果が出ていない」
というのは、実はノルマンディー馬ではなくて、選んでいる方自身なのでは?と思っています。
単年度でノルマンディーを許さないのは自由だし、社台を基準に考えるなら社台で出資すれば良いです。
正直、ノルマンディーも会員数は飽和に近づいており、辞めてもらうひとが増えるのは歓迎ですから。
ただ、ポリシーを持って辞めるひとが果たしてどれだけいるのか疑問で、辞めるのは結局は飽きたか、成績が振るわないかのどちらかでしょう。
オープン馬を引きながらノルマンディーを許さないと言うのなら、それは立派だなと思います。
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